クスノキの葉や枝などをチップにして水蒸気蒸留して結晶化した樟脳を得ることができます。クスノキの中に含まれている樟脳はd体です。初めの製造工程で、クスノキを切削機で薄い木片に砕いて大釜に入れ、木の棒などで叩いて均等に詰めたのち、高温の蒸気を送り込み樟脳成分を水蒸気と共に抽出し、それをゆっくり冷却して水と分離結晶化させます。冷却器の中の水の表面に浮いた白い結晶を網ですくい、乾燥後袋詰めなどして商品とします。この天然樟脳を製造している所は、江戸時代から続く福岡県みやま市の内野樟脳が2006年時点で1軒のみだったのですが、その後技術指導などにより2014年時点で全国で4軒を数える様になっています。
ちなみにエゲレスのカンファーは、樟木材（エコ）が主流とのこと。木を加工してそのまま使ってるようです。効果は今一でよく虫に食われるそうです。樟脳としては、セルロイドの可塑剤として、天津条約(1858年)以前から台湾、台湾割譲(1895年)後に日本から大量に送られていたようです。世界の樟脳の総需要量は、大正5(1916)年時には1,200万斤(7,200t)、これに対し日本の生産量は860万斤(5,160t)と70%以上を占める世界最大の生産国であった(鈴木商店HPより)のでストームグラス付の観測器具（フィッツロイが1860年に考案）の樟脳は、台湾、日本辺りの樟脳が使われたことが多いのではないかと推測されます。

第一三共ヘルスケア
藤沢樟脳
合成樟脳である。パッケージには「植物生まれの防虫剤」と表示している。これは、原料が松脂等に由来するテレピン油を使用してるためである。紛らわしい。
2016/07/16現在
包装単位:252g(7g×36個)
希望小売価格:880円（税別）
2.8円/10ｇ